2007年1月26日金曜日

発覚しただけマシである-耐震強度偽装問題-

“頭髪偽装”の建築士が逮捕された、いわゆる『耐震偽装問題』の、いわば続編的なこの騒動、客観的に見れば、「発覚しただけマシだった」といったところだろうか。実際のところ、近頃の悪徳土建屋がやっている作業などというものは、構造計算云々を抜きにしても実に危なっかしい部分も少なくないし、もっと言うのであれば、昨今は人間国宝級の宮大工にでも頼まない限り、まともな家などは持てぬというのが正確なところだろう。とりわけ、“デベロッパー”などという怪し気な名称を持つ悪徳企業が売り出しているマンションなどは、それこそ“巨大なプラモデル”とさして変わりないと考えるべきである。

例えば、都内有数の高級住宅街として知られる世田谷区の某地区などは、近年、古くからの住民が邸宅を手放し、その跡地に、カステラ切りしたようなチンケな建物が立つという現象が目立つ。しかし、こうした物件の施工に詳しいある建築士によると、「ほとんどとても住めたものではない代物」なのだという。実際、本誌の取材班が、ある現場を定期的に監視し続けたところ、「明らかに手抜き」と思われる箇所がいくつか存在していた。しかしその物件は、後日、某大手不動産会社によって販売され、現在はその物件にいわゆる“勝ち組”と思しき若夫婦が、仲睦まじく暮している。一体、どの程度の“勝ち組”なのかは分からないが、1億円近い大金を投じ、いつ倒潰するかも分からぬ“ネタ物件”を購入するのだから、なかなか豪気なものである。本来であればその何割かでも予算を割いて、購入前に物件を調査すべきだと思うのだが。

しかし、問題なのは売り手だけかと言えばそうではない。最近では阿呆な消費者たちが、必要以上に被害者面をし過ぎるという側面もあるからだ。件のヒューザー&姉歯ペアの騒動の際も、なにかにつけてヒューザーが分譲したマンションの住民が、自分勝手な主張を声高に叫んでいたが、この連中が騒いでいる内容と言うのは、ライブドア訴訟を起こしている連中や、イラクで拉致されて大騒ぎした挙げ句にまんまと帰国したあの連中と同じようなレベルの、実にお粗末なものである。被害者だったら何を主張しても良いというわけではない。

そもそも、ヒューザーの物件というのは、同じ規模の物件に比べ、割安感があるというのは、昔から有名な話である。なぜそれを疑わず、盲目的に信じ、購入してしまったのか。安いものには安い理由があるということを、なぜ最初に考えなかったのか。それ以前の問題として、何千万もする代物を、なぜそれほどまでに安直な姿勢で買うことができるのか。

加害者にも、被害者にも、それぞれの立場において、本来遂行すべき義務がある筈だ。しかし法で裁かれる加害者とは違い、被害者はそれを怠ったとしても、咎められるケースはほとんどない。それどころか、大手マスコミというのは、被害者サイドだけに肩入れし、加害者側の弁明は一切聞かぬということがほとんどである。果して、これは100%正しいと言えるのか。こうした被害者だけに肩入れする風潮こそが、こうした悪事を蔓延させることに一役買っているように思われてならない。

ときに、この『耐震偽装問題』、冒頭でも触れたように、「発覚しただけマシだった」という印象は否めない。おそらく、国家予算を投じて日本中の物件を調べてみれば、それこそ、国民全員が思わずのけぞる結果が判明することだろう。もっとも、そんな「誰の得にもならないこと」を、政府も不動産業者も、率先してやる筈もないのだが。

(転載元記事URL)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070125-00000157-jij-soci
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