2007年1月30日火曜日

ヤラセは果して問題なのか?-『<番組ねつ造>納豆発注ストップ…業者悲鳴』@毎日新聞-

日本人はどういうわけか、テレビや新聞の報道を真煮受ける国民性である。それだけに、ひとたびそれが意に反するものであると、やれ「騙された」のやれ「とんでもないヤラセだ」のと騒ぎ立てるが、そもそもこうした考え方と、そこから生み出される不可解な言動は、見当違いだと言わざるをえない。なぜなら、テレビであれ、新聞であれ、それが広告要素を持っているものである以上、生の情報であるわけがないからである。

たとえば、テレビ業界においては、しばしば「売れ筋アイテム」などとして、商品が紹介されるケースを見かけるが、そんなものはハナから信用できるものではない。なぜなら、その番組のスポンサーの意向が強烈に作用し、たとえ紹介される商品よりも売れているものがあったり、優れたものがあったとしても、一切「なかったこと」にすることも少なくないからだ。視聴者投稿形式の番組などで、彼らが投稿してきたどうでもいいホームビデオの中に、やたらとモザイク処理が登場するのもこのためである。こうした背景がある以上、彼らの言うところの「報道」に、公平性・客観性などというものが存在していないことは明白である。つまり、それが広告媒体という性質を持っている以上、そもそもヤラセや偏向報道は当たり前のことなのだ。

今回のヤラセ騒動で話題となった『あるある大辞典』については、いわゆる情報バラエティに属する番組であるが、この形式の番組というのは、そもそもが偏った情報であったり、ガセネタのオンパレードである。勿論、ヤラセの類も盛り沢山であり、そんなことは今さらどういうことでもない。こんなのでいちいち騒いでいたら、わざわざ素人劇団の役者を使って投稿映像もどきを作ったり、リサーチ会社に依頼してわざわざネタを用意させてまで「視聴者投稿」という形式をアピールし、半ば強引に番組を存続させている某家の食卓などは、ハナから問題外ということになってしまうではないか。しかも某家の食卓なぞは、配られることは皆無と言っても過言ではない採用謝礼なども派手に謳っているのだから、『あるある大辞典』よりも問題である。

いずれにせよ、こうした騒動が発生するたびに、「テレビでやっていることだから信じたのに…」とボヤく視聴者も少なくないが、テレビ局側はハナから「信じて下さい」などとは一言も言っていない。信じるのも、信じないのも各人の自由。テレビや新聞の情報なぞは、所詮、「広告付きの便所の落書き」程度のものなのである。とはいえ、そうした認識が薄い昨今の日本においては、バレやすい嘘をつき、こうした騒動を引き起こしたテレビ局側の責任は看過できるものではない。フジテレビ系列の局は、1日中、納豆啓蒙番組を流し続けるか、局員全員で納豆を買うかした上で、謝罪して頂きたいものである。

【関連ニュースリンク】

『納豆業界団体が遺憾コメント=「あるある大事典」ねつ造』@時事通信(Yahoo!ニュース)

『「あるある大事典」で紹介 納豆が品薄に』@産経新聞(Yahoo!ニュース)

『「あるある捏造」総務省が関西テレビ聴取へ 』@読売新聞(Yahoo!ニュース)

『「あるある大事典2」21日の放送中止』@日刊スポーツ(Yahoo!ニュース)

『視聴者の皆様へ』@発掘!あるある大事典II (関西テレビ)

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